ジャズと私と素敵な夜
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真心に打たれて
2006年05月11日
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今日はとてもいいお話を聞きました。

NHK教育TVで放送された「知るを楽しむ」(出演:辰巳芳子)
を観たのです。

http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p/001/31-05457.html

辰巳芳子さんは「命のスープ」で知られる料理研究家なのですが、
その姿勢はお母様の浜子さんの影響を受けたところが大きいと
言います。

お母様は、いつも相手の身になってすべてのことをする人。

桜の季節には、お庭の彼岸桜の下にござを敷いて、親しい方たちと
お花見をしたそうですが、その折にお母様の振舞われた握り寿司は
誰も真似のできないものだったと言います。

それは、お客様のお顔を見ただけで、お口の中の大きさを想像して
握る、その人その人のお口の大きさに合ったお寿司だったのです。

そういうことが、さりげなくできる天性のものを持った方でした。


そのお母様のエピソードで、なんとも胸を打たれたのが、戦争中の
お話でした。

辰巳さんのお父様は、いつも枕元に酔い覚まし用の水を、ウィスキー
の空き瓶、黒い角瓶のボトルに入れておいて置くのが慣わしでしたが、
そのお父様の出征中、お母様は決してその飲み残しの水を捨てなかった
と言います。

そして、そのボトルに向かって「無事にお帰りになりますように」
と毎日お経をあげていたと言うのです。毎日毎日、父の無事を祈る
母の姿を見て、辰巳さんは

「お母様はああして、お父様の命の糸を引っ張っていらっしゃる。
命の糸の端をしっかりと握りしめているのだ。」

と乙女ごころに感じたそうです。

愛するひとの、くちびるがふれた水を大切に拝んで、命の無事を祈る
という、その原始的なまでに素朴な愛情の表現…。

せつなくて、尊くて、そしていろっぽくないですか?

そして、お父様はお父様で、戦地から自分の煙草の吸いさしを大切に
ちり紙につつんで、お母様へ送ってよこしたといいます。

その吸いさしの行方は語られなかったけれど、
お母様はそっと着物のふところにお守りのように忍ばせたのでしょうか。
それとも、家族が寝静まった頃に、ひとり、そっと目を閉じて、煙草の
吸いさしをくわえてみたのでしょうか…。

なんとも浪漫的な映像が、ひとりでに思い浮かんでしまうのです。

そして、お母様の祈りが通じて、お父様は無事、戦地から帰って
いらっしゃいました。


辰巳さんは、その毎日祈るお母様の姿を見て、まごころは願いを
実現させるのだということを、強く感じたそうです。

「真心と実現させる方法は、車の両輪」

それがしあわせの元になるのだと、しみじみ語っておられました。


昔の日本人の、様々なしがらみがある中での、こうした抑制された愛
の表現って、とっても色っぽく感じられるんです。

現代の素肌を露出しすぎたフィジカルな恋愛なんて、ちっとも
色っぽくない…。

愛するひとを思うこころ、ただひたすらに祈るこころ、
まっすぐなまごころ。

ひたむきな 迷いのない 愛の姿に、心を打たれました。



by yoko at 2006年05月11日 | Comments (0)

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